最近の先進国のブームは「食べ物の安全性のチェック」だと言われているほど、 食品に対する関心は急速に高まっています。
日本でも中国から段ボール入りの肉まんが輸入された疑いがあるとメディアで報道された頃から、いつも何かしらの食品の問題性がネットやテレビで取り上げられています。
食料自給率の低い日本の場合、 国民全体に必要な食料を確保するとなるとどうしても輸入に頼らざるを得ません。
輸入をするということは、製造元や生産者がどのような環境で食品を製造したのか見えにくいという問題点があります。
ビオマーク
それでは食料自給率の高い国ではどうでしょうか?
食料自給率の優等生であるフランスの場合、国民が消費する食糧の多くは自国での生産で賄っています。
そのため、生産者がどのようにして食料を作ったかが見えやすいのです。
そのうえ、ヨーロッパでは厳しい基準をクリアできた食品に付けることができる 「ビオ製品」のマークがあります。
このマークがついているものは「ヨーロッパ全体で取り決めた食品の安全性が保障されている」ということになります。
安全な食品は「健康な体」ひいては「健康な肌」には大切なもの。
でも、本当にこのビオマークを信じても良いのでしょうか?
ビオラベルを取得するのは難しい
ビオラベルの張られた食品は、実に多くの検査基準をかいくぐってきた優等生たちなのです。
それは、野菜であれば栽培される「畑の環境」「質」から評価され、 店頭に並ぶまでの様々な段階が検査対象とされているからです。
基本的には、遺伝子組み換えや化学肥料等が使われた土壌で栽培されたものはダメですし、保存料や着色料の添加も許されません。
また、科学的な香料や調味料も使ってはいけないのです。
ただし、すべてを自然のものだけに頼ってしまっては食材はすぐに傷んでしまうし、加工食品の製造は難しくなりコストだけがかかるようになってしまうので「食品全体の5%未満」であれば禁止されている科学的な物質を使っても良いことになっています。
ここまで検査基準が厳しければ、消費者はビオマークがついた食品を安心して買う事が出来そうですね。
人気は高まるばかり
それに応じるように、生産者側も様々な仕事や工夫をしてビオ製品取得に向けて努力をしています。
その甲斐あって、フランスではここ5年ほどで新しいビオ製品が多く生まれてきました。
日本にもこれらのうちいくつかの製品を輸入しています。
例えば「ワイン」。
日本では「フランスのビオワイン」と呼ばれてよく売られているのですが、管理の行き届いたブドウ畑や醸造施設で作られたワインたちなのです。
フランスを揺るがしたビオ製品のスキャンダル
ここまで徹底管理された制度であれば、そのもとに付与されたビオマークの効力は大きいと思います。
しかし、残念な事にビオマークがついている製品でも問題のあるものが発見される事があるのです。
例えば2013年にノルウェーで養殖・輸出されたサーモンはビオマークがついていましたが、 魚肉に含まれていた人体に有毒な物質はビオマークの付いていない安価なサーモンよりも高い数値を示したのです。
そして、この問題のサーモンをフランスは長い間輸入してきていたので、フランスではビオマークの信頼性を改めて問う事態になったのです。
原因は、厳しい検査基準の中に見過ごされていた薬品があったという事。
ビオマークの基準を制定した当時では、まだ人体に有毒であると断定されていなかった物質だったので、検査対象になっていなかったのです。
現在では養殖魚の検査基準は大きく見直されたので、また安心してビオ製品を購入出来るようになりましたが、やはりどこかで食品の安全性には目を光らせなくてはいけないのです。
日本の食品の安全性
日本のスーパーでは、生産者の顔写真が商品と一緒に提示されている光景をよく目にします。
特にこういった取り組みは青果コーナーでよく見るのですが、消費者が安心して購入できる一方、生産者は顔をさらす事で責任感が生まれるし、写真を表示する事で他の食品との差別化が図られています。
しかし、青果以外のコーナーではどうでしょう?
肉や魚では、銘柄こそ書かれていても生産者までは把握できないのが現状です。
今日の食事は10年後、20年後の自分の体を作ります。
毎日安心して食べられる食材をどこで・どうやって購入出来るかを知るという事は、今後の食品安全としてますます関心が高まっていく事でしょう。