皆さんが毎日浴びている「シャワーの水」。
あまり気にしたことがない人は多いのではないでしょうか?
実はシャワーから出る「水の質」は、肌や髪の毛に大きな影響を与えているのです。
硬水が引き起こす現象
フランス南部は、水質が「硬水」(水に含まれているミネラル、特にカルシウムやマグネシウムの濃度が高い)で有名です。
普段使っている水道水が「硬水」であると、いったいどのようなことが起きるのでしょうか?
まず簡単な現象として、蛇口が結晶化したミネラル成分で詰まることがあります。
湯沸かしポットの内部にある熱線は、特にミネラル成分が結晶化しやすいようで、数日使うと貝殻くらいの厚さの結晶が出来てしまいます。
コーヒーメーカーなど、細いチューブに水を通すような機械の場合、 かなりの頻度でカルキ取りの薬品を入れて結晶化したミネラルを取り除かなければ故障の原因になってしまいます。
また「硬水」で洗濯をすると、洗い上がりがゴワゴワした感じになってしまい、 柔軟剤を入れてもふんわりとした手触りにはなりません。
特に困るのが「水垢」が付きやすくなるということ。
特に水道周りは、撥ねた水がそのまま乾くと水に含まれていたミネラル分だけが残り、跡になってしまいます。
なぜ硬水になるのか
それには、南仏の土壌の特殊な点を知る必要があります。
実は、南仏を含めた地中海沿いの一帯は、西はスペインから東はギリシャのあたりまで、遥か昔は海に沈んでいたのです。(ギリシャ文明やローマ文明が栄えるよりも、遥か昔の話です)
そのため、今でもここら辺の土を少し掘れば 巨大な牡蠣の貝殻の化石(20~30cmほど)などが出てくるのです。
そして、こういった貝殻の化石に含まれるミネラル成分が雨によって大地に降り注ぎ、地面にしみ込んだ水の中に徐々に溶け出して「ミネラル豊富の水」になるのです。
体への影響は?

「硬水」で体を洗うと、 軟水(含まれているミネラル分の濃度が低い水)の時に比べて、 洗い上がりに「肌の乾燥」が感じられるのです。
それは何故なのかという理由を海水で説明すると、海水には「塩」が多く含まれているので、「塩」というミネラルを大量に含む海水は「硬水」となります。
人体より海水のほうが遥かに「塩の濃度」が高いため、海水に入った人間の体からは「浸透圧の影響」で、水分が一方的に海水へ流れ出てしまうのです。
これと同じ理由から、人体より多くのミネラルを含む「硬水」で体を洗うと、水分が流れ出し「肌の乾燥」が感じられるのです。
シャワーの水の場合は、そこまで浸透圧の影響は受けないので「肌の乾燥」は海水ほどではないのですが、 それでも数日間南仏の水で体を洗っていると肌がカサついてくるのです。
酢で髪を洗うフランス人
肌に悪影響を及ぼす「硬水」は、 同じくタンパク質で出来ている「髪」にも良くない影響を起こします。
つまり「硬水」で洗った髪の毛は乾燥して傷んだ、ゴワゴワとした手触りになってしまうのです。
この問題を解決するためにフランス人の考えだした策はスゴイです。
「硬水」つまりミネラルを多く含んだ水というのは「アルカリの性質」を持っています。
アルカリ性の水を中和させるには「酸性の液体」を加えればいい。
ということで、フランス人の中には髪の毛が傷んだと感じたときには、まず酢で髪を洗って、お酢の持つ酸性の力でシャワーの水を中和するのだそうです! 臭くならないんでしょうか…
日本の水は肌にやさしい?
そんな南仏の水に比べて、日本の水はとても肌にやさしいのです。
その証拠に、欧米の人と日本人の肌質を比べてみてください。
個人差はありますが、比較的日本人の肌は年の割にキメの細かさを保っていると思います。
欧米の場合、大体どこでも硬度の高い水が流れているため、一般的に肌にダメージを受けやすい生活環境となってしまうのです。
日本の水の落とし穴
でも、気を付けてください。
確かに水質は柔らかくて肌にやさしい日本の水ですが、意外なところに落とし穴があります。
それは水道水に含まれる「消毒薬」などです。
「日本の水」特に東京の水道水の浄水設備というのは、 一昔前と比べて格段に改善されたため、今では水道水から塩素の強いにおいがするということはなくなりました。
それでも私たちが日々口にしている水道水には、微量ながらもしっかりと「肌にダメージを与える物質」が含まれているのです。
家庭のシャワーで出来る対策としては、シャワーヘッドに「イオンの力で有害物質を取り除くもの」などが売られているので、簡単に対処法が見つかると思います。
毎日浴びるシャワーだからこそ、水質にはしっかり気を配りたいものです。